黒。それが中から見える外の全て。

コポコポと音を立てながら丸い空気が”水槽”に沈められたボク――――【****】をすり抜けていく。

その空気が体表を滑る感触にボクは背中を震わせた。それが何という言葉で現されるのかボクは知らない。

それにこの場所で口を開くということは絶対的な苦痛を意味する。

”水槽”の中の液体が食道を抜け、胃へ落ちる様など想像しただけで吐き気がする。

それはとてもキモチワルイことだ。

だからボクは”水槽”の中で空気と戯れていることしかしない。

あぁ・・・それともう1つ。

ボクは歌を歌うんだ。口には出さず、何故か”そのこと”にボクの知らない感情が胸を刺し、目から何かを流そうとも。

ボクは歌を謳うんだ。歌わなきゃ、空気に触れることさえできなくなるのだから。

宿る木の下、顧みる、それは次第に音を紡ぐ、波の呼応に等しき児戯のよう













ガランとした廊下を恐る恐る歩く。

神経を尖らせて、指の一本一本に無音を命じながら、呼吸の1回1回に気を配る。

私――――【大村アヤメ】は向かっていた。

どこに? ”赤眼”が現われる前に【φファイ】さんと取り決めた集合場所にだ。

そこはこの霊山の麓。私の【基督教徒神闘者】としての身体能力を買ってのことだ。

一度山林に紛れれば後は走り切るしかない。

何度も脱走した山だ。私の方が土地勘があるし、速い。

「(でも問題は・・・)」

この大村の屋敷が広すぎる点にあった。

”赤眼”と”お爺さん”が乱入してきた裏門から―――そこはやっぱり”裏”なわけで―――正反対の位置に入り口がある。

そこから出るのが一番安全なわけなんだけど。

そして、そこまで辿り着くには明らかに屋敷を突っ切る方が速いわけなのだが、何だか嫌な予感っていうの? そんなのをヒシヒシと感じるし、他に敵がいないとも限らない。

ふと、窓を見た。

鉄色の空からは今にも雨が降りだしそうで、でもそれが愛おしく思えた。





だからズルズルと、濡れたボロ雑巾を引き摺るような。

だからヒタヒタと、確実に近付いてくる足音。

だから求めていた、その音が私の浅はかな希望と覚悟と甘えでないことを確かめると。

私は”それ”に向かって走り出す。

どんな時だって、私を1人にしないように、逃げ出しても隠れても見付けてくれたあの人に。

「・・・・お嬢様」

発せられた声が私の耳を打ち、抜ける。

額と足から大量の赤を垂れ流しながら、【尾崎 篠丸】はそこにいた。













世界のシステムというのもがそれほど単純なものでなければ、それを1人の人間が理解できるほど簡単なものでもない。

しかし、決められた枠に嵌ることを極端に嫌う【彼】は無理矢理にだがそれを理解しようとした。

神よ。貴方は彼に何をさせたかったのですか? そして、何をさせているのですか? もしくは、何をしようとしているのですか?

永久に続くであろう【彼】というものの連鎖の錠を今再び外して、何を?

その悪夢の如き饗宴のキャストに私の名があるのなら、私は黙して踊りましょう。

だから、私は貴方に願います。

彼の鎖を断ち切ることが出来るのは、紛れもない貴方なのです。





「えぇい、どこにいったんですかアヤメちゃん!!!?」

私――――【φ】は滴る血の流れを掌で無理矢理塞き止めながら、先に入っていった彼女の痕跡を追う。

痕跡、それは目に見えて残っているほど明確なものではない。むしろ五感で追い切れるものでもない。

私が追うべきものは【彼】の残した計略の残滓ともいえる【彼のニオイ】。

タキシードの老人が持っていた【向日葵】の花言葉「私はあなただけを見つめる」の言う通り、雄一郎は計画の内でアヤメちゃんを狙っていることは私にも分かっていた。

でもこの言葉の真の意味はもっと別のところにある。その言葉は恐らく、雄一郎ではなく「他の誰か」の言葉なのだ。

それが誰なのか、皆目見当が付かない。しかし、それは確実に今まで彼女を見つめてきた人物に違いないのだ。

「・・・・・・・・・・・・・・いるじゃないですか」

尾崎篠丸。

彼を疑う私を彼女は軽蔑するかもしれない。彼に絶大なる信頼を置いているからだ。

でも雄一郎はそんな人間の弱いところを突くのが病的に上手い。

恐らく篠丸が屋敷へ来てから・・・いや屋敷へ来る前から雄一郎は彼を手駒にしていたのだろう。

「そうであるなら今はアヤメちゃんを負うより、篠丸の気配を追う方が早い・・・のか?」

一概にそうとは言い切れない。彼が雄一郎サイドの人間である可能性は、あくまで私の知る人物の中という限定した区間でのみ存在しえるものだ。

本来手の内を明かすことを嫌う雄一郎の性格からして、私の知らない第三者を見つけることが先決なのではないだろうか。

「・・・・・やれやれ」

私は溜息を吐くと拳を固め、自分で自分の頬を殴る。

ちょっと本気で殴ったせいか、口の中が切れ鉄の臭いが鼻を衝く。

「甘く考えるなよ、私」

彼女を狙う危険因子は雄一郎のやり口から考えて、ほぼ篠丸と考えていい。【向日葵】の言葉が真実であるならば、より信憑性は増す。

ただ、私は個人的に彼を雄一郎の駒だとは思いたくなかった。私は美化していたかっただけなのだ。

これからどんな悲痛な結果が待っていようと、自分がその時、無力であったように。

私は彼女に傷ついて欲しくなかっただけ、それは同時に、私が傷つきたくなかったんだ。

「でも甘い考えが許されるなら・・・」

篠丸、貴方と私が初めて出会った時にアヤメちゃんに向けていた眼差しが本物なら、どうかお願いです。

彼女を殺さないで下さい。











彼が何をしたのか分からなかった。

それが現実に起こった事なのか疑問に思えるほど、それは怪しく私――――【大村 アヤメ】の胸を突き刺し、心底で根付いていた何かが根元から切り離されるような錯覚を覚えた。

錯覚? これが錯覚ならば、夢というものは痛みなどで覚めるものではなく、現実と非現実を行ったり来たりする道のようなものということになる。

勿論、夢がそういうものでないことは誰もが知っている。だからこの痛みは現実で起こっていることなのだろう。



篠丸の唇が、私のそれを塞いだのだ。



愛だとか恋だとかいう感情は言葉でしか知ることのなかった私にとって―――口に出すことも恥ずかし過ぎる・・・―――初めてのそれがどんな意味をもたらすものか、私自身が分からない。

でも分かるのは、これがとても”怖いことだ”ということ。この胸を穿つ苦しみは今まで受けることが叶わなかった愛情の裏返しなどではないことを私は知っていた。

やがてそれ同士は離れ、私は篠丸の身体を引き剥がそうと、もがく。

しかし、傷を負っているとはいえ、自分でも動転しているのが分かるほど正常でない私が篠丸の腕を振り解くことができないことは明らかだった。

だから私は足掻くことをやめ、問う。

「どうして・・・こんなことを」

まだ愛情の方がよかった。だが、口先から流れ出した感情は紛れもない憎悪でしかなく、彼もそれは分かっていて口付けたのだ。

「【ユダの接吻】を知っていますか、お嬢様? ユダはキリスト逮捕の際、その手に口付けすることによって伏せてあった兵士達に合図を送り、キリストを捕らえたとされています。その行動により、ユダは裏切り者とされ、後世に名を残すことになります」

篠丸は嗤っていた。狂ったように、血を流しながら、それでも狂いながら嗤っていた。

「キリストはお嬢様。そしてユダは・・・・・・・”俺”! しかし俺が手にするものは裏切り者などという不名誉な呼び名ではなく、神のみが手にしていた生命力の泉。貴方の左腕に眠る【ミカエル神に似た者】の力、それがユダとなった俺に与えられる称号!!」

ぶつっと思い出が音を立てて消え去ったのを私は感じた。









目の前に立っている篠丸は・・・”誰”?









「そんな、どうして・・・」

「どうして? 力が欲しいからに決まっているだろう・・・? それとも俺が”何故今になって”って意味か? いつでも奪うことが出来ただろうってことか? ”それは違う”」

篠丸・・・いや、彼に似た何かが、彼が見せたことの無い爽快な笑い声を上げながら、私はこれほどまでに饒舌だったのかと呆然としながら、でもきっと本当は絶望しながら彼に似た声を聞いていた。

「8月7日で貴方の16歳の誕生日だ。【ミカエル】は、【それを宿した者が肉体の成熟を迎える16の誕生日までに”口付け”を交わし”生血”を飲み、契約を果たすことができれば、その力は契約者へと移行する】ことができる。貴方がこのまますんなりと誕生日を迎えるようであれば無理矢理にでも契約を交わすつもりだった。だが、そうせずともチャンスが訪れた。誕生日を迎える寸前で貴方は懲りずに屋敷を抜け出した。同時に貴方から意識を逸らすため、大村の分家に攻撃を加え、戦力の分断と現象を待った。俺達にとって誤算だったのは、たまたま貴方が住むことになったアパートが化け物の巣窟だったこと。まぁ、結果として俺は神の力を受け継ぐことが出来るわけだが」

「・・・・・・・」

「絶望のあまり声も出ないか? いい気味だ。お前達が絶望すればするほど、力を手に入れられる喜びは増すばかり――――」

「・・・・・・・どうして、貴方はそんなに力が欲しいの?」

「救世のためだ。俺は真なる意味で神の力を得て、世界を”再生”させる。そして俺はナイトメア様と共に新世界の神となる!!!」

私を捕える手が更に身体を締め潰すように強められる。

筋肉が反発し叫びを上げ、私は嗚咽を漏らすことしかできない。

「その為には君の力が必要なのだ・・・大村アヤメ」

そんなに私の力が必要なの? 私が貴方を信じていたのを知っていて、貴方は私を利用したの? それでもいいよ。

篠丸が欲しいなら、こんな醜い腕あげる。だから・・・。

「そんなに悲しい顔しないで」

「っ!」

「生血・・・私の血を篠丸にあげればいいんだね?」

不思議と私に迷いは無かった。

いや、篠丸が私に口付けたときから何となく分かってたんだ。

私は知っていた。このミカエルを他人へ移す方法を。

でもそうしなかったのは、私が私であることを捨てるに等しいことのように思えたからだ。

大村家の長女として生まれ、ミカエルを手にした私は、ただこの腕の為に存在しているといっても過言ではなかった。

所詮私はこの力の器にしか過ぎず、私自身に価値はない。だからそれを幼少の時、本能で悟った私はこの”逃げ”を選ばなかった。

でもいいんだ。この力を真に必要としてくれる人がいるのだから、それを良い事に使おうと悪い事に使おうと私には関係ない。

私はどんな人になっても、篠丸のことを大切にしたいから。



「覚えてる? 私たちが初めて会話した時の事。あの日もさ、雨だったよね。こんなに曇ってなかったけど。狐の嫁入りって言ったのかな」



「キミは外を見ていた。あの裏庭の縁側から白砂利を叩く雨を、ボーっと。そして、何を思ったのか、気付いたときにはキミは雨の中へ駆け出していた。逃げたのかと思った。でも違った。」



「濡れた砂利に太陽の光が差して、すっごく綺麗だったの。だから私も、綺麗になれるかなって・・・」



「あぁ、綺麗だった。この世のものとは思えぬほど、あの日のキミは光り輝いていた」



「・・・・・それから雨が止んだ後、篠丸は言ったんだよ。今みたいに、綺麗だったって♪」



「・・・、・・・・・・・・・・・・・・・・そろそろ時間だ」



「・・・うん」



私は唇を噛んだ。ぷつっと唇が切れ、そこから鉄の臭いのする液体が流れ出てくる。



「ねぇ、篠丸」



「なんだ?」



「私のこと好き?」



「・・・・・・使命なんてなければ、あのアパートで”自由”を探すのも悪くないと思った」



「アハ、いいねそれ。・・・・バイバイ、篠丸」



唇と唇は重なり合い、彼の舌が私の口の中を舐めた瞬間、私の意識は混濁する。

その時、何が起こったのか、私は覚えていない。

でも明確に覚えていることは、ゆっくりと閉ざされていく瞼の隙間から垣間見た神の姿と、”彼”の艶かしい感触だけ。















7月も後半戦に突入して久しい。

我らが私立一ツ橋大付属高校の夏休みは、明後日の終業式で訪れる。

だから終業式の一日前である今日は通常授業になっており、せめて昼までにしてくれと訴えたいものだが、特別授業放棄したい理由があるわけでもない。

やはり学生という枠では平凡な道を歩んでいると節々思う。

俺――――【神谷 幸村】はハンガーにかけてあったYシャツに袖を通し、前ボタンを留める。

後ろにボタンがあるわけではないので「前」を接頭語として用いるのはいかがなものかと思うが、とにかく衣服としての使用方法は間違っていないのでヨシとしよう。この場合誰が善悪を決めるのか、俺の知ったことではない。

さて、カバンはどこか。周りを見渡す限り、ない。リビングに置き忘れたか・・・。

同じ部屋にて起床を同時に終えた薫さんとゲルニカが同じ仕草で目を擦っているのを「飼い主によく似る」という言葉の通り思っていると逸早く覚醒したらしいゲルニカはスッと立ち上がり、リビングの方へ走っていった。

薫さんは相変わらず寝起きが悪い、何か音で表現するならポワポワと言った感じか、まだ半分夢の中にいるようだ。

「あ、ユッキー・・・明後日から夏休みなんだよねー」

「正確には3日後ですが・・・夏休みですね」

「海行きたい」

「海・・・ですか?」

「うん、海」

「・・・・・海」

海にはあまり良い思い出はないのだが・・・。

「分かりました、行きましょう、海」

「・・・むにゃ」

「薫さんが覚えてたらですけど」

そんな会話を交わしていると、ゲルニカがリビングからテコテコとカバンを持って歩いてきて、俺に差し出す。

「いってらっしゃい」

クリクリとした大きな瞳がアクビの涙でキラキラと輝き、見上げる切なげな表情は飼い主の足にすがるヨーロビアン・ショートヘアを髣髴とさせた。

「抱きしめるまでなら許す」

いつの間にか居候第一号のラグドールは瞳をギラギラさせながら俺に何かを訴えていた。恐らく「それ以上のことをすると3日は口利きませんよ」みたいな。

3日耐えられないのは間違いなく薫さんの方だが、ここは許されたラインに沿い、ゲルニカの頭を撫でてカバンを受け取る。

終始むっとしている薫さんを横目で見ながら、牙を剥く寸前で手を離す。

どこまでが許され許されないのか、猫使いという職業があるならその道で飯が食える程のプロフェッショナルとなった俺は手に取るように分かるというものだ。

「では、いってきますね」

2人にそれぞれ笑いかけ、俺はリビングを抜けて玄関へ進む。

クツを履いてドアノブを捻る頃には、キッチンの方でドタバタと、調理器具との格闘が始まっているようで・・・。

「いってきます」

小さく、それだけ言って、帰りに新しい皿を買わねばと財布の中身を確認した





椿山荘から学校までの通学路を歩む間にこの数日の事後報告をしておきたいと思う。

まず、φさん。

最初φさんを―――”彼女”を見た時、誰だか分からなかったが、瞼の裏に焼きついた口元の微笑と口調で気付くことができた。

戦いの間で失った前髪が恋しいのか「絶対に伸ばす」と頬を赤らめながら宣言していた。隠さなくても、全然可愛いのに。



そのφさんと深い関わりを持つ【団長】。

基督教徒神闘者の肉体に、相反した存在であるはず夢魔の魂を宿す【ペルセウス共同体】となった彼の戦闘能力は俺は軽く凌駕した。

そして歴史上唯一の1人、戦国の世を震撼させた魔王”織田信長”のみが持つことを許されたとされる【インビジブル絶対不可視の大鐘楼】を放つ彼は一体何者なのだろうか。

その答えを知る時、またそこに戦いがある。



日本警察庁長官【一ノ太刀 鬼丸】もそこに居合わせたらしい。

俺達があの場所に集結したこと自体が団長の目論見だとφさんは言っていた。【ナイトメア夢魔王】を退けた戦闘力はやはり圧巻・・・まだあの男も底を見せていない。

鬼丸と時を同じくしていた【獏羅 香織】が、何故その場所にいたのか、その真意は分からない。



最後に・・・【大村 アヤメ】。

彼女は――――。

「ちょっと、何で先いっちゃうんですか!?」

一ツ橋公園に入る一歩手前、後方から恐らく俺に投げかけているのであろう声に足を止める。

後ろを振り返るとそこには一ツ橋大付属高校の制服を着た少女が紙パックの牛乳を片手にダッシュしていた。

息を切らしながら俺の脇に到達し、多少呼吸が整ってきたであろう頃合を見計らって聞く。

「公園で待ち合わせ・・・じゃなかったですか?」

「そうで・・・すけ、ど。いいじゃな、いですか・・・待ってくれてもっ」

薫さんやφさんがいじける時に使う不機嫌顔―――この表情は女性に共通して持ち合わせているもののようだ―――で彼女は俺を睨む。

そして落ち着いたのかストローを口に咥え、今度は俺を先導するように公園へと入った。

俺はこれ以上刺激しないためにも大人しく後ろに付き従う。まぁ、どうせすぐにこの位置は逆転するだろうけど。

それに気付くまでは黙って後ろを歩いていよう。

大村 アヤメ。彼女は尾崎 篠丸によって奪われた”ミカエルの力”と同時に”基督教徒神闘者としての力”をも失ってしまった。

それが偶然であったのか、契約の際の必然だったのかは大村家が頭首である左京にも分からないとのこと。

取り合えず、大村家は各地に四散した基督教徒神闘者の集結を第一に考えているようで、アヤメちゃんはこのまま椿山荘で面倒を見てやってくれとのことだ。

元々大村家の地位と資金を駆使し―――俺の時と言いよく金に動かされる学校だ・・・私立だからか―――あまり良いとは言えない転入手続きを彼女自身が行っていた為、登校初日が1学期終了の2日前という奇妙な時期になってしまったのだが、それはそれで面白いと彼女はこうして花の高校一年生となり俺と同じ通学路を歩んでいる。

椿山荘2階、半ルームシェア状態となった寝室は今日もまた、一方的な介入のみしか許されないという異質な空間になっている。

全ては大家さんの「都合の良い客」ばかりを引き寄せるカリスマ性が起こさせたこの一連の出来事は、夏の到来をひしひしと感じさせる灼熱色の球体の下、幕を下ろそうとしていた。

「あ、幸村さん」

「なんですか?」

「私、学校の場所わかんない」

「OK、付いてきて下さい」









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